【小説】魔法の小瓶 -3-


各話ゲストの言動はイメージです。

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モ「ああ~~~ッ 待って待ってモロクくん!!」

場所は変わって、マジクル・タウンのマルシェ。

とてとて、と駆け出したモロクを
モニカが飛びつくように慌てて止めた。

フラがしゃがみこんで、モロクの袖を引き寄せると
その上にコインを乗せる。

フ「お金を払うんだよ。」
モロ「あっ」

そうだった!と目を輝かせて、 
少年はまた とてとて と店の中に戻って行った。

フ「…いやいや、新鮮だねえ」
モ「最後のお願いごと、気を付けて考えないとなぁ~~;」

砂漠の妖精のイタズラで、小瓶の中に閉じ込められてしまったモロク。
フラ・モニカ・エリカの3人が偶然にも助け出したのだが、
その3人の"願い"をかなえるまでは、手足についた枷が消えないというのだ。

モ「フラさんが『お花に水をあげて』ってお願いしたら、海まで水汲みに行こうとしたもんね~~」
フ「はは、私も驚いたよ。"ミズ水晶"を知らなかったとは」

そう、彼らが気付いた最大の問題点。それは。

モロ「フラさん!モニカおねえちゃん!」

見てみて~~!と言いながら、モロクが嬉しそうに駆け戻ってくる。

モロ「『おかね』渡したらね、リンゴとね、もっとたくさん『おかね』もらった!」
モ「あっモロクくん、それは『おつり』って言って…えーと、まずお金には種類があってね」
フ「モニカくん、また今度にしよう。少しずつ、覚えて行けばいいよ」
モ「あ、そうだね!そうしよう!」
モロ「?」♪

そう、このトカゲの化身であるモロクには
魔法に対しても、文化的な生活に対しても、あまりにも知識がないのであった。

ひとつめの願いは、フラからの『お花に水をあげて』。
海まで水を汲みに行こうとしたモロクに、花は海水では育たないこと
そして、この世界には 水を生み出す魔法が存在することを教えた。

ふたつめの願いは、エリカからの『リンゴを買ってきて』。
「買う」という行為すらよくわからなかったモロクのため、
フラとモニカが一緒にお買いものに来たというわけだ。

モ「よっし、そしたら、そのリンゴをエリカちゃんに届けよー♪」
モロ「おーっ!」♪
「おーーっ♪♪」
∑(@ω@`;)ビクゥッ!?

いつの間に背後からノッてきた声に、モロクが驚き ポンッとトカゲの姿に戻る。

モ「あ~~っ モロクく~~~ん!;」
「あり?ありり?ビックリさせちゃった??ごめんね~~?ww」

そう言って笑う、背の高い男。

すぐに ポンッ と人型に戻ったモロクは、
ササッとモニカの後ろに隠れて  男を見上げた。

「おっつ、完全に警戒してる感じ!?;」

軽い言葉で頭をかく男の横で、
フラが困ったように笑う。

フ「やれやれ…モニカくん、モロクくん。彼はオルフェ。私の友人だよ」
オ「そうそう、お兄さん怖くないヨ~!!」

男は両手をひらひらと広げると、
あ、そうだ!と、思いついたようにポケットに手を入れて何かを取り出す。

オ「ほぉらチビちゃん、これあげるから仲良くしよ☆」
モロ「?」

男が手を広げると、中から、どんぐりと木片でできた小さな人形が顔を出した。

ドングリはちょこん、と立ち上がると 手を胸にあてて深々とお辞儀をする。

モロ「わぁ~」
モ「なにこれー!すごーい!」
オ「わぁ!お兄サン嬉しー☆彡可愛い子にはもっとあげちゃう☆」

ポケットからバラバラとドングリを落とす男。
次々に立ち上がって踊り出す木の実に、モロクは目を輝かせた。

フ「きみは子供の心をつかむのが上手だねぇ」
オ「そりゃぁ、これも営業ですからw」

そう言って、男は胸元から名刺を取り出し、モニカとモロクに手渡す。

オ「このオモチャね、このお店のリジーっていうオバ…オネエさんが作ってるの。
  良かったら今度遊びにきてね。オルフェお兄さんの紹介って言えば、サービスしてくれるよ~★」
モ「ほんと??ありがとー!」
モロ「ふわぁ~~~///」

宣伝もむなしく、モロクは名刺よりも
石畳の上で踊る小さな人形に夢中なようだ。

その視界を遮るように、フラの杖が地面をコンコンとたたく。

フ「ほうら、そろそろいかないと、エリカくんが待っているよ」
モロ「Σはっ そうだ。リンゴ!とどける!」

言葉とは裏腹に、どこか名残惜しそうなモロク。
またゆっくりお店においで、チビちゃん。とオルフェに頭を撫でられ、
「うん!」と大きな返事をした。

まったね~☆彡 と満面の笑顔で両手を振るお兄さんを背に、
一行は エリカの待つフラの事務所へと帰路を急ぐのだった。


つづく

Magicle Town

創作企画 Magicle Town 魔法と奇跡の世界へようこそ さぁ、楽しい魔法交流ライフを始めましょう

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