こんばんは、白月光菜です!こちらの企画ではお初の小説投稿させて頂きます!<m(__)m>
物語メインキャラ→【レイ・トワイライトさん&アレスト・クライム】。
少しでも楽しんで頂ければ幸いです(*´▽`*)
キャラさん何人かお借りしております。関係性、まだ決まっていない所を少々自分で考えたりしたので、これはダメとかありましたらツッコんであげて下さい<m(__)m>
この↓からどうぞ。
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レイ・トワイライトが属するアイリス・アソシエーションは、とても良心にあふれたギルドと言えよう。
ここはあらゆる種族が行き交い、多くのギルドがあふれる世界。そしてこの街は、その民人のほとんどが集う魔法と奇跡の街マジクル・タウン。起こることすべてに魔法が作用しており、魔法で出来ないことはないとは言うが、人の心まではそうままなるものではあるまい。人の心を操る魔法もあるにはあるだろうが、結局のところそれはまやかしと言える。
人の心を動かすのは、人だ。
とりわけ、人の心からは負の感情がなくなるものではない。ひょんなことから何度でも負の感情は生まれる。魔法でそれを消したところで一時的なものでしかないはずである。
他人への害意や悪意や殺意というものは恐ろしいものだ。
そのせいで起こりうるとも言える、迫害や差別から人々を救い、守ることを目的としているのがアイリス・アソシエーションだ。
ギルドメンバーの多くは警察官で構成されており、レイもそのひとりである。
レイは、アルフレッド・アバーテの下に結成されたギルドがこころざす『あらゆる種族の守共存共栄』という目的を誇りに思っていた。
警察服に身を包んでいる時も、そうでない時さえも、その想いを忘れるまいと思っている。
たとえ、そのすべてを自分の手で救えるわけではないとしても―――――。
「それでも、この手に届く、この目が届くヒト達だけでも、全力で守っていく。と」
ぽつりとつぶやいた唇は、笑みの形。
灰色がかった紺色の長髪と黒い悪魔の翼に何度かブラシで手入れしてから、紺色の髪を一つに結い、うふふこれで身だしなみはOKね、とレイは口元に手を当てて肩を揺らす。
手鏡を見つめ、「お話の続きはまた今度しましょうね~フラさ~ん♪ エドウィンくんによろしく~♪」と鏡に向かって手を振るレイ。鏡の向こうから明るい返事が聞こえた。
そうして手鏡をしまうと、いつもはしまっている黒い翼をパッと出し空を舞い始めた。本日の朝の巡回の開始だ。広いマジクル・タウンの見回りをするには有翼種の彼は適している。
(あら、あら、あら、今日もいーい天気~♪ 巡回日和だわ~♪)
おや?オネエ口調なのに彼とはこれいかにとは?
彼はいわゆるオネエでこの街では通っているので、無問題なのだ。
ぐるぅ~りと空中を踊るように舞いながら、見渡した目下の景色は、いつものマジクル色。レンガ造りの町並みは風情もあって、何度見ても楽しめる。
しばらくの間空を舞っていると、空や風の精霊が気持ちの良い風を運んで来て、思わず巡回より遊泳に浸ってしまいたくなる、平和な朝。キラキラと世界が輝いているように見えた。
こうしてると脱線しちゃってダメね、などと思うが、平和な時くらいは許されるのではないだろうかとも思ってしまう。
この街に―――この光景に、ほのかな悪意も混じっているだなんて、にわかには信じられないとレイは思う。
それでも、そういったものも存在するからこそ、自分のような警察官も必要となって来るわけであって。まったく複雑なものである。
こうしておだやかで明るい街並みを見ていると、心があたたまるのに。
(仕方ないものだけれど………って、あら?)
と、ふとレイは真下を歩いている人物を目にとめるとひゅん、と下降した。
「やっほー、エルトちゃ~~~~ん。元気ーーーー???」
「あれ、レイじゃないか。今日も精が出るね」
そこにいたのは、マジクル・タウンでも同じ公的な立場にある魔法省つとめの、エルト・アルフェッカ。比較的近いところに勤め先があるため、朝にときどき顔を合わせるのだ。
レイにとっては年も近く話せる相手だ。
エルトと視線が合う位置まで降りて来たレイは、ほほに手を当てて首をかしげる。
「うふふ、いつものことよ。エルトちゃんは今から出勤かしら?」
「いや、今日明日はオフなんだ。今からディプレストに行くところ」
「いつもの『お星様』?」
「そう、寄り道しつつね。たぶん夜には着くんじゃないかな」
エルトは星が好きだ。だからこそ天文学者となった。天文台から星を見ることはもちろん、あらゆるところで星を観賞するのが趣味だ。というよりはライフワークとも言えるかも知れない。自他共に認める『お星様バカ』とも言わしめる彼女である。
目の色さえも星の色なのだから、極め付けかもしれない。
お星様、という単語を出すだけでほら、エルトの表情には笑みの色がともるのだから。
エルトちゃんったら可愛いわあ、とレイは自然に口元に笑みが浮かぶのを感じた。
「スナイスの星が今のところ特に好きなんだけどね、ディプレストの星もおもむきがあるんだよ。どちらも空の神様に愛されてるみたいなんだ。深海からじゃこうはいかないな。今度オフの日が重なったら、レイも一緒にどう?」
「あらいいわあ、素敵なお誘い。その時はよろしくね~?」
「もちろんだよ。絶好のスポットを案内する。何かと多忙みたいだから、レイも息抜きしたらいいなって思うしね」
「あらあら、あたしは好きでやってるのだもの。気分転換の方法は心得ていてよ?」
あはは、流石カッコいい人だね、とエルトも笑みを返し、さっそうときびすを返した。上着を深く着込んで、手をひらひらと振る。
「それじゃあ私はこれで。またね、レイ」
「ええ。あたしもそろそろ仕事に戻らなくちゃだわ。道中気をつけてね、エルトちゃん」
「ああ、ありがとう」
エルトと別れたレイは、再び空に舞い上がってゆく。空中から近くを歩いていたギルドメンバーに「そっちは大丈夫かしら?」と聞くと「ああ、今日は平和そのものだよ。レイの方もみたいだな?」と返事が返って来たのでホッとする。
巡回に出てだいぶ経ったが、何事もないようだ。
こういう職についておいて何だが、何だかんだ平和なのが一番だ。刺激があるのは嬉しいことだが、不穏な刺激は出来ればまっぴらである。
仕事がない方が嬉しい。それはそれでおまんま食い上げなのだが、イキモノはそれでも何とかやってゆけるものだ。
「今日は何事もないかしらね~そろそろ次の仕事に、」
と、ギルドの方へと帰ろうとしたレイだったが、そこで動きをピタリと止めた。密かに背中の翼にサブ魔法で増やしていた目が、一つの光景を見つけたのだ。
レイは小さく息をのんで、目をこらす。
「………!!!!」
彼は目をいくつでも増やせる魔法を持つ。その力を巡回にも活かし、事件が起きるとそうそう見逃しはしない。
素早く身をひるがえし、レイはマジクル・タウンへと降りて行った。
レイが急降下したのは路地裏だった。まだ朝なのに、うす暗さがただようひと気のない場所。せわしなく、先ほど見つけたものに向かってレイは駆けてゆく。
その途中だ。
げほっ、ごほぉっ……とせき込む苦しげな声が聞こえて、レイは勢いよく角を曲がった。そこには、小さな黒い影を取り囲んでその相手に激しい暴行を加える獣人達がいた。
大人の獣人が数人、明らかに自分よりも小さな者をよってたかって苦しめているのだ。ギリ、と唇をかみ締めてからレイは叫ぶ。
「ちょっとあなた達!!そこで何をしているの!!」
レイを見るやいなや、「げげっ、ケーサツじゃん」「異形がいるから悪いんだよ異形が」「ずらかれ!」と獣人達は慌てだす。異形、ですって……?とレイが目を見張らせている内に、彼等は文字通り尻尾を巻いて逃げていってしまった。ハッとした時にはもう彼らはいなくて。魔法を使う間もなかった。
「待ちなさい!!」
しまった。
声を荒げて、追いかけようとしたもののレイはまたそこで足を止めてしまう。げほ、げほ、とせき込む声が耳に入ったからだ。今自分はここに一人、他に追いかける仲間もいない。
ならあんな連中を追いかけるよりは、ここで苦しんでいる人が優先だ。
レイは地面に倒れこんでいる影に駆け寄り、隣にしゃがみこんだ。
「ちょっとあなた、あなただいじょうぶ?」
「う……ん、………オマエ、は……?」
「警察よ。アイリス・アソシエーションのレイ・トワイライト。ああひどい。こんなにボロボロになって……っ」
レイが抱き起こしたのは、傷まみれの……まだ歳若い少年だった。
ずいぶん小さいが、年の頃は14~15といったところだろうか。黒い、おそらくカラスの翼に白い鳥足、それに水竜の角と耳――――この容姿から察するに、混血の獣人族だろう。先ほどの連中が異形、と言っていたのはこのためか。黒が基調の少年の軽装は、今やボロボロである。
(何が異形なのよ。ふたつの血が混ざっただけの、可愛い子じゃないの。どちらの血だって、大切なこの世界の一員のはずなのに)
そんなの普通の人と何ら変わらないわ、とレイは思う。
大切に背中を抱え、そっと撫でたクセのある銀色の短髪は、ふわっとやわらかい。このやわらかさも、触れたぬくもりも、レイとその少年はひとつも変わらなかった。
少年は、もしかしたら姿をうとまれることが日常的なのかもしれない。レイが自分の姿を見ても何も言わないのが不思議なのだろう、眉を寄せて不思議そうにレイを見上げていた。
少しでもやわらかく響くように気をつけて、レイはもう一度少年に問う。
「……だいじょうぶ?」
「……いつもの、ことだ。慣れてる。ぼくの姿を見て驚かないヤツはほとんどいない」
驚かなかったのは、ほんのひと握りのおひとよしくらいだ。
そう言って、ぷい、と顔をそむけた少年にレイはとても悲しい気持ちになった。これまでこんな扱いが当たり前だったということなのだろうか。
これまでずっと、こんな扱いに耐えていたということなのだろうか。何て酷い。
怒りと悲しみに、唇がふるえた。
「あなた、名前は?あ、違ったわねその前に手当てをしなくちゃ。あたしじゃ応急手当くらいになっちゃうけど少し待ってね」
「……勝手に話を進めるな。手当てなんていらない。慣れてる、って言っただろ」
「だけど、見ているだけで痛いのが伝わるわよ。このまま放っておいていいことは何もないわ。取り返しがつかないことになったらどうするの?」
「でも、いらな、」
少年は更に言いつのろうと顔を上げ、そこで優しいオレンジの瞳と目が合って口ごもった。夕暮れ時の日の光みたいにあたたかな色が、少年を真剣に見つめてくれているのだ。
どうして、自分の姿を見ても何も言わない?怖くないのか?気持ち悪くないのか?さっきの奴らみたいに異形だって、異形じゃダメだって、言ったりしないのか?
そんな、困惑の瞳で見られて、レイは眉を下げながらもふんわりと笑んだ。
「あなたの翼も綺麗なのに、こんなことでもし痛んだりしたら悲しいわ。あたしはあなたを傷つけたりなんかしないから、ね?」
「…………ぼくは」
「あたしのことをどう思ってもいいのよ。でも、どう思われてもいいからあたしにあなたの傷の心配くらいはさせて」
「……………っ」
この人は、本気でそんなことを言うのだろうか。
少年はそう思った。
自分にはじめて優しくしてくれた“あの人”――――シードラゴン様のように。
少年は小さくうつむき、きゅっと両手を握りしめた。
じん……とあたたかさが心にも体にも染みるけれど、少年は首を横に振る。
(そんな……そんなの……簡単にあのお方のようなひとに会えるもんか。でも、この目は……あのお方にとても似ている…………すごく、優しい)
だけど、だけど。
「…………心配は、勝手にすればいい」
「え?」
投げかけられた言葉にレイは目を大きくする。そうしている間に、少年はレイの腕の中から抜け出て、一歩、二歩、三歩と遠ざかっていっていた。
レイが慌てて駆け寄ろうとすると、やはり少年はふるふると首を横に振る。
「でも、オマエみたいなヤツは、ぼくみたいなのに構っても損をするだけだ。シードラゴン様も……あのおひとよしもそうだった。もっと、もっと優しいヤツにこうしてやったらいいんだ。……ぼくは、助けて貰っても、恩をどうやって返せばいいかも分からない」
「恩なんて、そんなあなた」
「ぼくは、これくらい自分でも手当て出来る。手間をかけたな」
「あ!!ちょっと待って!!」
そう言うと、少年は自分の身長よりも大きな翼を広げ、飛び去ってしまった。その方角は先ほどエルトが向かったディプレスト――――自然に満ちた、広大な大地の方角だ。
「…………行っちゃった」
少年が飛び去った方角を見つめ、レイははあ、とため息を吐く。
追いかけようかとも思ったが、しかし少年の姿はそうこうしている内に豆粒のように小さくなってしまって追い着けそうになかった。どう見ても、普通のイキモノに出せる早さのようには見えなかったから、恐らく彼の魔法の力なのかもしれない。
「何て飛ぶのが早い子なのかしら……び~っくり」
それにしても、シードラゴンって言ってたけど、それってパレスドラのご領主様の?
それにあのおひとよし、というのはお友達のことかしらね?
レイは内心首をかしげるも、少年はすでにそこにはいなかった。その上自分が追求して良いことでもないだろう。相手の領域に入り込むことは必ずしも良いことばかりではない。
初対面の相手に対する距離というものがある。
しかし、レイにとっては彼は放ってはおけない少年だった。
もしまた会うことがあったなら、今度こそ手当てくらいしてあげたかった。痛々しい姿のまま飛び去ってしまって、心も体も痛くてたまらないだろうに。
「本当に綺麗な翼なのに、お手入れもしていなかったみたい。せっかく可愛い子だったのに、あれじゃああんまりにもあんまりだわ」
レイは、少年が飛び去った方角を見つめたまま、また彼に会えることを祈った。
まだ、名前も聞けてない、小さな少年に。
その頃だ。空を飛びながら、少年――――アレスト・クライムはレイが触れていた腕にそっと手をやった。まだ、触れられた感覚が残っている。レイの手はアレストにとって、とても、とてもとても良いものに感じた。
触れていたら、涙が出そうなくらい。
―――――心地の、いいものだった。
傷を負った体はそのままだが、不思議と痛みが消えてゆくような錯覚さえ覚えた。
(ぼくは、ああいうヤツを……シードラゴン様みたいなお方を守りたいと思って頑張ってるつもりなのに、助けられてどうするんだ。あんな風に迷惑かけるようじゃ、まだまだだ)
そういえば、礼も言えなかった。もう会うこともないだろうが、もしまた会うことがあったら礼は言うべきだろうな、とアレストは思う。
―――――――あなたの翼も綺麗なのに――――――――
優しく響いた言葉も、まだ耳に残っていた。
アレストは、切なげに細めた赤い瞳を伏せる。
「…………オマエの翼には、敵わない」
ディプレストの青空に、ぽつりと不器用なつぶやきがもれた。
*** *** ***
<END>
という訳で、こちらはうちのアレスと、めかみさん宅のレイさんの交流小説です。
今後書くお話の自分なりの布石も打ちつつ、こんな感じで〆させていただきます!<m(__)m>
エルトさんが登場しているのも何気に布石の一つ←分かる人には分かるかもしれない布石。
ここまで読んで下さり有り難う御座いました!ヽ(´▽`*)ノ
描写に多少の不安はありますが、こんな感じで大丈夫?かな?と思いたいです|ω・`)
ではでは今回はこれにて!(敬礼)
↓↓↓~オマケのラクガキ~↓↓↓
「エルトちゃんは本当にお星様が大好きなのねえ(by,レイさん)」
あのしばらく後、inディプレストに星見旅行に行ったレイさん&エルトさんの巻。
星について語ると、とてもキラキラしていると思ったのでそういう妄想の絵です!←
~星について語り始めると止まらないエルトさん(無馬さん談)~
※2017年11月24日・追記!
2コメント
2017.11.17 01:35
2017.11.16 10:14