ラストだよー(・ω・)
お付き合いありがとーねぇー
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エド「……えっ?」
モロ「??」
自分の一言に、アップルパイにたかっていたその場の全員の視線が集まり
エドウィンは時間が止まったように固まった。
数秒の沈黙のあと、少々自信を無くした小さな声で続ける。
エド「あの…私が砂漠地帯の配達に時間がかかるから…雇った…と」
一同「……」
エド「…いうこと…では…??」
一同「……」
そしてさらに続く、無音。
最初に、元気に沈黙を破ったのは、モニカだった。
モニ「え~~~!そうじゃん!」
エリ「その手がありましたね」
姫「ふむ、なかなか名案じゃのう。のう、フラよ」
フ「…ううん…確かに、一理あるけれど…」
レ「いいじゃない、ほら、ココもどうせ部屋余ってるんでしょ?」
エド「…あの」
モロ「? ???;」
本人たちが一番混乱している様子で
矢継ぎ早に発言を繰り返す客人たちへ目を移す。
レ「モロクくん、ここで働けばいいのよ。ね」
モニ「やったー!私、いっぱい遊びに…じゃなくて、依頼に来るね!」
モロ「えっ えっと…??」
盛り上がる客人たちに言い寄られながらも、
その後ろで口元に手を当てて考え込むマッド・フラに目を向ける。
エリ「いけませんか?フラさん」
フ「はは…ありがたい提案ではあるけれどね。」
その言葉に、モロクに詰め寄っていた2人が勢いよく振り返った。
モニ「えー!なんで?」
姫「乗りかかった船、と言うじゃろう」
詰め寄られたフラは、気を使うような笑顔で答える。
フ「素晴らしい案だとは思うけれど…彼はまだ子供だし、この世界にも慣れていない。残念ながら、我が社は安全と信頼を大事にしたいのだよ」
モニカが、ええ~ と、残念そうな
それでも反対とも言えぬ、複雑な声を絞り出した。
エド「あの…すみません、私がすっかり勘違いをしてしまって」
フ「いやいや、私の説明不足だ。すまなかったね」
姫「しかし、モロクとやら。住処も行く宛も決まっていないのじゃろ?」
エド「!」
住処も行くあても決まってない。
その境遇はまるで、自分がこの街に来たばかりの頃のようだと、エドウィンは思った。
エド「フラさん…。」
フ「そうだね。落ち着くまで、事務所の空部屋を使って構わないよ。」
良かったですね、モロクさん。
……そう、エリカが声をかけようとしたとき
モロクが ピョン! とイスから飛び降り、フラの足元へと駆け寄った。
モロ「あの、ぼく…はたらきます!」
一同「!」
モロクは、キッと、遙か上にあるフラの目を見上げて続ける。
モロ「ぼくも、できることがあるなら、やりたい!ありがとうって、とっても、嬉しかったから…!」
フ「…気持ちは嬉しいけれど」
姫「本人がこう言っておるのじゃ。子供のやる気を削ぐわけではあるまいな?」
フ「しかし力仕事が…」
レ「砂地なら千人力でしょ?ありがたい戦力じゃない~」
フ「そうは言っても」
モニ「あっ フラさん、私モロクくんに依頼するよ!」
フ「いや…」
エド「フラさん、どうでしょう。研修性ということで…私が指導しますから」
フ「…うぅ…」
フ「皆でその目はやめてくれないか…!!」ダッ
レ「コラッ!逃げないの!!」 がしっ!!
鏡の中に駆け込もうとしたフラの腕を、レイがガッツリと掴んで止める。
レ「いいじゃない。ここに協力者は沢山いるわ。」
モニ「わたし、モロクくんのお客さんになるよー!」
エリ「上手に働けるようになるまで、私たち相手に研修をすれば良いんです」
姫「それは良い案じゃな。ウチの下ぼ…ムサシにも、注文させよう。」
エド「フラさん」
フ「……はぁ……こうなっては仕方ないね。」
レイの手から逃げようと引っ張り合っていたフラの腕から だらりと力が抜ける。
フ「…彼はまだ子供だが…その、"人の役に立ちたい"という強い気持ちを信じることにしよう。」
トランステック・カンパニーの経営者はそう言って ゆっくりと事務所の奥の部屋に入ると
黒手袋の中に、小さな金属製のバッジを乗せて戻ってきた。
鏡の形をしたそのバッジには、T/Cと文字が浮かんでいる。
フ「モロクくん。ここで、働いてくれるかい?」
モロ「……!」
ハイッ!!!!
──これは、泣き虫で頑張り屋の少年が 居場所を見つけた時のお話。
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おまけ
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