【小説】魔法の小瓶 -5-


モロ「えっと、エリカお姉ちゃん、はい、どうぞ!」

大切に大切に持ち帰ったリンゴをエリカに渡すと
エリカも、大切そうにそれを両手で受け取った。

エ「ありがとうございます、モロクさん。フラさん、キッチンお借りしますね」
モロ「?きっちん…?」

その時、どこかで パリン という音が響く。

モ「あ!モロクくん、とれた??」
モロ「うん!えっと、前足の…」
フ「それはね、"手"って言うんだよ」
モロ「あっ、えっと、手のが、とれたよ!」

どうやらそれは、魔法の手かせが外れた音のようだった。

フラの"願い"である "花に水をあげて"では、首輪が。
エリカの"願い"である "リンゴを買ってきて"では、腕輪が
願いをかなえると同時に、弾けて消えた。

残すは、足枷だけだ。

レ「まったく、こんな可愛い子に酷いイタズラするものね」

今度やったら、逮捕してやろうかしら!
そう言って腰に手を当てた青年に、モニカがぴょんぴょんと近づいた。

モ「レイさん、ありがとね!モロクくんすぐに見つかって助かったよ~!」
レ「うふふ、お役に立てて良かったわ~」

まっあなたなら、簡単に見つけたかもしれないどね、と付け足して。

レ「それで?最後のお願いはどうするの~?」
フ「モニカくんの番だね」
モ「んん~~~そうなんだよね~~ どうしよっかなぁ~~~」

モロクが、心配なくできることは 限られている。
となると、願いを決めるにも慎重さが必要なのだ。

モ「素材集めのお手伝いをお願いしたいところだけど、危ないし…」
「魔法を使ったらどうじゃ」
モ「うわぁっ!また出たあっ!」

また出たとは失礼な。と、ほおを膨らませるのは
先程植木から現れ、嵐のように去って行った少女。

フ「やぁ姫、おかえりかい?」
姫「うむ。帰り道で通りかかっての」

少女はそう言って、モロクへと向き直って問いかける。

姫「ほれ、モロクとやら。そなた、この街に来たからには魔法が使えるのであろう?」
モロ「!」

そっか!と、モニカの耳が跳ねた。

モ「モロクくん、何か、魔法でできることってある?」
モロ「う~んと、う~んとね…あッ」

モロクは少し考えてから、ひらめいたように
自分が入っていた陶器の小瓶を両手に包み込んだ。

そして、えいっと言う掛け声と共に手から光を放つと・・・

レ「まぁ~♪綺麗ねぇ♪」

再び開いた両手から現れたのは、光を反射して輝く、ガラスの小瓶だった。

モロ「えっとね、こうやって、砂や土をガラスにしたり、ものを固くしたり、するの。」
姫「ほぉ~、確かに。随分強度の高いガラスよの。」

姫が小瓶をコンコン、とテーブルの角に打ち付け、感心したように息を吐く。

モ「わぁ~!モロクくん、すご~い☆彡」
エ「!」

キッチンからその会話を耳にしていたエリカが、声を上げた。

エ「モニカさん、これは、助かるのでは」
モ「?」
エ「装飾品につかう素材が必要なんですよね?」
モ「ん?…あっ!そっかぁ!そうだったw」

そもそも、この2人がモロクを助けることになったのも
モニカの兄であるアルクに、素材集めを依頼されていたことがキッカケだった。

しかし、めぼしい素材は見つからず
仕方なく帰ろうとした道すがらで あの小瓶を見つけたのである。

モ「モロクくん、親指くらいの大きさの、長方形のガラスが欲しいんだけど…」
モロ「♪できるよー!」

ハイッ!と得意気に両手を上げるモロクに、レイが笑みをこぼす。

レ「可愛いわねぇ~ つい協力したくなっちゃう。」
姫「まったく、この街はお人よしばかりじゃのう。どれ」

わしも、ちと手助けしてやるか、と、姫が姿を消した。

フ「おや…。…砂を取りに行ったかな?」
レ「ふふ、も~最初から協力する気まんまんだったくせに♪」

--- つづく ---


Magicle Town

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