身を焼くもの

どもです、零下です(o・ω・o)

新キャラの九龍 閑真くんは相棒こと白月 光菜ちゃん作のトーリィちゃんとCPを組ませてもらっているわけなんですが、今回はそんな九トリ小説です(o・ω・o)


というか、閑真くんからトーリィちゃんに宛てた恋文。


邪龍・霞壬鬨のこともあって死に急いでいる閑真くんですが、トーリィちゃんへの想いを自覚してからはそれもなくなるといいなーって感じで。赤裸々告白、読んでいただけたら幸いです(o・ω・o)



身を焼くもの


いきなりの手紙で驚かせてしまっただろうか。

オレはこの世界に来て久しい。元の世界での作法などとうに忘れてしまった。

だからひどく簡素で無礼な手紙になってしまうが、許してほしい。

それでもオレは、お前にこの手紙を書きたかった。

お前も知っている通り、オレとお前は大きな壁に隔てられて触れ合うことも叶わない。窓越しに言葉を交わすのみの関係ではいずれ秋風が立つのではというお前の危惧も知っている。

だがそれは杞憂だ。オレが元居た世界では、こうした関係は当たり前のものだった。

触れ合えず、顔すらも合わせない恋仲などよく知ったものだ。お前が気にすることは何もない。

オレの恋病みはそんなことで治ってくれるようなものじゃないんでな。

しかしオレとお前を隔てる塔や呪いによってオレ達の仲が泡沫の恋に終わるのではと、お前はいたく気にしているようだ。だからはっきりとここに宣言しておこう。

オレは、オレ達の仲を泡沫に終わらせはしない。

今は触れ合えなくとも構わない。そうすれば、オレの呪いがお前の身を焼くこともないのだろうからな。お前を閉じ込める塔がこうした形で役立つのは皮肉だが、ありがたいことに変わりはない。

オレはいずれオレの呪いに決着を着けてみせる。その時、オレが無様にも生き延びていたならば、その時はこの情けない無頼漢を受け入れてはもらえないか。

快い返事をもらえたならば、死に急ぎはしないと約束する。

お前はオレを卑怯だと笑うだろうか。だが、いつ戻るとも知れぬ無頼漢に操を立てろとは言わない。お前が幸せであれるなら、それがオレの一番の願いだ。

ただ少しでも、オレのことを心の片隅にでも恋うていてくれるのなら、どうかこのオレの願いを聞いてはくれないか。

その約束ひとつあれば、生き延びるための道標にできる。死に向かいはしないと誓う。

お前がどんな道を選ぼうとも、オレは生涯お前だけを愛しく想う。

本来ならば正式に誓いを立てたいところだが、生憎今はそうもいかない。決してお前への想いを軽んじている訳ではないが、先も言った通り作法を忘れてしまっているんだ。

だがそれでも、誓う想いは本物だと分かってほしい。

生きて帰ることができたら、お前をその塔から出して、幸せに過ごさせてやりたいと思う。

触れ合えぬことは気にならないが、オレにも欲はある。なによりお前が独りでうら寂しい顔をしているのを見るのはつらい。

笑ってくれ。お前を想う慈悲深さのようでいて、この想いはただの欲だ。血の通った親切心の皮を被った欲だ。どうしても、お前を傍に置きたいと思ってしまう。

それでも、お前の幸せを願うことに変わりはない。お前がオレに束縛されない自由を望むなら、オレはこの欲を鎮めよう。それでも消すことなど出来はしない。オレの恋病みはそんなことで消えてくれやしない。それは分かってほしい。

お前への想いは日々募ってやまない。一夜の徒情けどころでは済まない。当然岡惚れなんて密やかなものでもない。気が付けばお前の事ばかりを考えている。ただの欲だと知りながら、それでもお前を幸せにしてやりたいと思う。

オレの恋病みは、まるで炎のようだ。お前を幸せにしてやりたいと思うのに、お前をオレだけのものにして独占したいとも思う。煩悩が、オレの心ごと全てを焼いてしまう。

あの時オレの身を焼いたのは、あの日の炎じゃない。お前への恋慕だ。

けれどこの身を焼く恋慕があれば、オレは生を捨てずにいられるかもしれない。

どうか一時の嘘でも構わない。お前の約束で、このオレを騙してくれないか。

快い返事を待っている。


九龍 閑真


赤裸々にもほどがある(o・ω・o)←

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